九死に一生

あと0.1秒遅かったら、ないしは、早かったら、死んでただろう。

そういう経験を皆さんはお持ちでないだろうか?

 

私は浪人時代にその経験をした。

 

友達の家で遊び、家路につく際、傾斜30度もあるであろう長い下り坂。

 

時間は夜9時半。

 

早く帰りたい私は、Myチャリを力を入れて漕ぎ、

下り坂の最終地点、T字路を右折する体制に入っていた。

 

田舎道が故に、普段は車通りなどない。

今日も車が来ないと思い込んだ私は

いつものごとく時速50km以上の速度でT字路に突入。

 

しかし、その日は運が悪かった。

 

T字路に差し掛かる直前、目の前のミラーに右から車が来ることを確認。

「やばい。これは途中で止まるわけにはいかない。突っ切ろう。」

 

そう思った私は、次の瞬間に愕然とする。

左からも車が来ている。

このままのスピードで突っ切るとT字路のガードレールにあたり

飛び越えて、崖から落ちてしまう。

 

私は覚悟を決めた。

「ブレーキなしで崖直行は無理。中途半端にブレーキし、いろいろぶつかるより、潔くどっちかの車にぶつかろう!」と

 

T字路に入る5メートル前に、フルブレーキをかけた。

 

その瞬間、タイヤの角度、自転車の傾き、ブレーキの強さ

三一体技で、横滑りの態勢で、T字路に突入した。

 

上手く後ろの車輪がドリフトし、ちょうど中央分離帯の同線上に

自転車と私が止まった。

その瞬間、両車線で車がもうスピードでとおり

私の髪が風でなびいた。

 

想像するだけでも、映画のようだった。

そして、半分死を覚悟した私にとっては、九死に一生を得た瞬間だった。

 

両車のドライバーが急ブレーキをし、

私に怒声を浴びせる。

 

当然だ。あと数秒間違っていたら、私を轢いていたからだ。

 

その後、私はお詫びを伝えた後

その近くのアパートの駐車場に行き

30分ほど震えていた。

 

もう二度と危ないことはしないと誓った。

 

人間こうやって知識や経験を加味しても大人になるのだと思うが

死んでしまったら意味がない。

 

私は運がよかった。

 

心から、守護霊、親族の霊に感謝したい。

 

せっかく頂いた命、大切に使っていこうと思う。